ようこそ、ニッポンの北欧へ!

00000281750492main image

2009年11月、雑誌の取材でノルウェー最北端の岬、ノールカップを目指した。北緯71度10分21秒。そこは、同時に欧州最北の地でもあり、欧州に暮らす人々のあこがれの地でもあった。

フィヨルドと呼ばれる入りくんだ地形が海岸に続くノルウェーに、南北を縦断する幹線道はない。“ノルウェー1号線”と呼ばれる海上の道を往く「フッティルーテン(沿岸急行船)」に揺られ、最北の町・ホニングスヴォーグへたどり着くと、最北の岬までは、あと30km。そこからはバスに揺られる旅となる。

水辺の稜線を縫うように進むと、白銀の丘陵が車窓に飛び込んでくる。 視界を流れてゆくなだらかな丘を観ながら、ふと思う。

「これは、どこかでみた風景」のはずだと。

しばらくして、気がついた。

日本最北端の街“稚内”・宗谷丘陵の風景だと。

なだらかな風景は、「周氷河地形」(数万年前に氷河が融解と結氷を繰り返しながら削り取って作り上げた特異な地形)と呼ばれる宗谷丘陵と同じく、氷河が作り上げた風景なのだ。

私が高校生の頃(1985年)から通い続け、撮り続けている、道北(北北海道)地方は、本州の風景とはある種異質な風景だ。広漠とした大地に、豊かな森と、牛達が草を食む緑の丘がどこまでも続いている。だが何度訪れても腑に落ちない“本州との違いは何なのか”という疑問が、北欧の地を踏んでやっと理解できた。

そこは、ヨーロッパに近しい背景の元に形作られた、他の日本では観ることのできない、固有の歴史をベースに形成された“自然の芸術”が広がる場所なのだ。

“ようこそ、ニッポンの北欧へ!”

初めて訪れる人を必ずや魅了してくれる日本最北端の地へ、

今以上多くの人に訪れてもらうことを、切に願っている。

 〔2013. 4. 9 写真家 工藤裕之〕

  • このエントリーをはてなブックマークに追加